旅する情報系大学院生

旅と留学とプログラミング

3月の大学院訪問(とコロナによる途中帰国)

アメリカの大学院は合格するとVisit dayやOpen houseと呼ばれるオープンキャンパスのようなイベントに招待されます。旅費も部分的に負担してもらえ、どの大学院のオファーを受けるかを決める前に直接学生や教授と話すことが出来る貴重なイベントです。

期間(当初の予定) 大学
3/1-3/3 CMU
3/4-3/8 MIT
3/9 Harvard
3/10-3/11 Brown
3/12-3/15 Stanford
3/16-3/19 UW

合格した大学院のうち、当初の予定では以上の6つの大学院を訪問する予定でした。2月はまだコロナウイルスの感染が拡大しておらず、予定通りvisit dayに行けるのかなと思っていましたが、3月初旬には徐々に怪しくなり、結果的にMITより後のvisit dayは全てオンラインに移行しました。私はMITを訪問後、急遽飛行機を予約しボストンから東京に帰ってきました(そして本来なら既にボストンで博士課程をスタートしているはずだった6/14現在になっても東京から出られないままでいます)。

渡航前

2月は大学院の合格発表、卒論発表、3月末にポルトガルで発表予定だった(来年に延期になりました)論文の発表練習などをしていました。1月の間は大学院からいつまでたっても連絡が来ないとやきもきしていましたが、合格してからはpotential advisorとの面談や渡航関係の書類等、頻繁に大学院とのやり取りが発生しました。三週間の間に5つの都市を周遊する予定を立て飛行機を予約するのは面倒でしたが、どの先輩も「visit dayは楽しかった」と仰っていたため、三週間もずっと人と話していたらコミュニケーション力が底を尽きるのではないかなと思いつつもとてもワクワクしていました。

CMU Open House

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こうやって夕飯を食べられていた時が懐かしい...。

最初のvisit dayは3/1から3/3に開催されたCMU Open Houseでした。成田空港からデトロイト乗り換えでピッツバーグに到着しました。小話ですが、成田空港で搭乗前に「東京大学での謝辞でも言われていたように、多くの東大生は自分が恵まれた環境に育ったことにもっと自覚的になり、自分と同じくらいの実績や学歴が無い人を努力が足りない人だと判断するべきではない」という趣旨のツイートを私の経験を例に挙げてしたところ、思った以上に賛否両論を引き起こし、ツイートの中で使っていた「中流家庭」という言葉だけに反応し人格否定のような非常に失礼な反応をしてくる人まで現れ、ピッツバーグに到着した時にツイッターを開いて驚きました。

何はともあれ、夜遅くにピッツバーグに着いてしまったためUberでCMUが予約してくれたホテルに向かいました。3/1の夜ご飯はホテルで提供されるはずでしたが、私はホテルに九時過ぎに着いてしまったため夕飯にあぶれ、何も食べずに就寝しました。

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昼ご飯の様子。あまり美味しくは無かったが、他人とご飯を食べるという行為が恋しい。

3/2は朝から晩までミーティングが目白押しでした。CMUとDepartmentの全体の説明を聞いた後、7人の教授や学生と30分ずつミーティングを行いました。Potential advisorや彼の学生はもちろん、グラフィックスグループではあるけどSOPには書いていない教授ともミーティングがあるため、飛行機の中で論文を読みある程度予習をしようと努力はしましたが、流石に研究の建設的な議論をするには30分は短すぎました。ミーティングでは面接のようにこちらの能力を測ろうとするというよりは、CMUの良いところやグループの雰囲気をアピールし、合格した学生にぜひ入学して欲しいとリクルートをするのが中心でした。CMUに限ったことではありませんが、visit dayでは分野で権威の教授が熱心に話してリクルートしてくれるため、本当に贅沢な環境だと思います。昼はグラフィックスグループでランチを食べ、晩御飯はCSD全体でバイキングでした。

3/3は前日ほどはスケジュールが詰まっておらず、ミーティングは3人の教授と行ったのみでした。ランチはCMUの学生がパネルとして質問に答えるのを聞きながら食べ、夜は外のレストランに食べに行きました。

ホテルではStanfordの学部生と相部屋でした。Open houseを通じて知り合った学生の多くがアメリカの有名大学の出身でした。当時は中国と韓国からは渡航・出席できない規制があり、international studentが少ないように感じた要因に一躍買っていたと思います。

MIT Visit Day

3/4にピッツバーグからボストンに飛びました。ボストン空港から市内にバスに乗って向かおうとした時、ちょっとしたハプニングが発生しました。私が乗ったバスはボストン市内行きではなくBraintreeという、バスで一時間程度かかる郊外行きのバスだったのです。バスに乗った際、ご老人ばかりだったのが少し変だなと思ったのですが、その時に確認していればこのミスは防げていました。空港からBraintreeまでは途中停車は一度もなく、しかも事前にチケットを買わないといけない制度だったらしいので途中で気付いた時は焦りました。隣のご老人に行き先を聞き、どうしようと戸惑っていたら、なんとそのご老人がご自分の回数券から一枚ちぎって私に渡してくれました。私より少し大きい娘さんがいるらしく、「(私を娘さんに例えて)娘が外国に行ったらトラブルにあって欲しくない」と仰ってました。もちろんたくさんお礼を言い、その後は雑談をしながらバス停に着きました。バス停で別れる時に名刺を頂いたのですが、なんとその方はチョコレート製造機械の会社の社長さんでした。この経験が印象的で、ボストン全体の印象が出だしから非常に良くなりました。

その後はUberでホテルに向かいチェックインしました。MITのホテルでのルームメイトは中国人の学生なのですが、なんと彼女とはCMUのOpen Houseでも会っており、その時にお互いが次のvisit dayでルームメイトであることが発覚していました。トップ大学に合格する人は他の大学にも軒並み受かっており、別の大学で何度も同じprospective studentと会っていました。

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立食形式のディナー
3/5はMITの先輩と昼ご飯を食べ、夜は立食形式のディナーでした。あまりにも3密であったため、ルームメイトが「ちょっと密すぎて怖い..」と言って避難していたので彼女と一緒に早々にホテルに戻りました。

実はこの時大きな問題が発生していました。3/5日になってから、MITのvisit day担当の事務から「日本から来た人は二週間の自己隔離を行わないといけないためvisit dayに参加できない」というメールが来ました。とても断定的な口調だったので驚いてよく聞くと、どうやら事務の人が早とちりしただけで政府や大学レベルではそのような規制はなく、結果的にMIT Medicalに渡航日や熱を連絡したらvisit dayに参加できるようになりました。Visit dayで知り合った韓国人の学生も同じようなメールを受け取ったらしく話していたのですが、home addressを元にvisit dayの前日に断定的な口調で「参加できない」と連絡するなんて失礼だよねという意見で一致しました。残念ながら、このせいでMITの事務に対する信頼が落ちました。

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乾いたサンドイッチ、なぜ...
3/6はMITや学科全体の紹介に始まり、学科の教授全員による3分間の研究紹介がありました。その後、教授や学生とのミーティングを立て続けに行い、昼はグラフィックスグループの談話スペースで乾いたサンドイッチを食べました(全体的にMITの食事のクオリティが低い..)。夜はなんとグループの教授の家でホームパーティーが行われ、とても楽しかったです。

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半貸切のボーリング場

3/7は学生によるパネルや学科の制度の紹介がありました。大学院生用の寮を見学するイベントにも参加しました。夜はボーリング場を半貸切にした場所でパーティーしたのですが、これがとても印象に残りました。赤ワインをたくさん飲みながら将来の夢についてprospective student達と話し合い、こんなにambitiousな人達に囲まれて生活したらどれだけ楽しいのだろうかと思いました。あるMIT出身の教授が「MITはambitiousになれる場所」だと言っていましたが、本当にそうなんだろうなと思っています。Paul Grahamも彼のエッセーで書いていましたが、普通の人は野心的な人を見ると脅威に感じ、discourageしようとするものです。野心的な人が自分が満足している現状よりももっと多くのことを望み、自分よりも多くの幸せを望んでいると感じてしまうのだと思います。そのような人が多い環境は挑戦をしやすい環境とは言いがたく、やはり野心的な目標を持つなら同じくらい野心的な人が沢山いる環境に身を置くべきだなとこの時改めて感じました。ボーリング場の後はMITに戻り朝3時過ぎまでCatanをプレイしました(勝ちました)。

オンラインになったvisit day達

3/5にUW、3/6にStanford、3/7にBrownが、オフラインでのvisit dayを中止し、オンラインで開催することを発表しました。この時点でボストンから直接日本に帰国することを決め、飛行機を取りました。3/10にunofficial visitする予定だったHarvard(MITとvisit dayが被っていたのでvisit dayには行けなかった)は特に連絡が無かったためHarvard Squareのホテルにもチェックインし行く気満々でしたが、なんとミーティングの2時間前にオフラインでのvisitは無しにするという連絡が届きました。しょうがないのでホテルの部屋からpotential advisorとSkypeしましたが、正直残念ではありました。結局3/10はCambridgeを散策し、3/11の昼にボストンから飛行機に乗りました。

さいごに

CMUとMITのvisit dayが楽しかった分、それ以降のvisit dayがオンラインになってしまい残念でした。これはコロナウイルスが私の今年の予定に与えた影響のほんの一部ですが、今も沢山の人が不本意な気持ちで生活していると思います。いつ終わるか分かりませんが、皆さんがんばりましょう。

留学を志した経緯はこちらの記事に書きました。
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出願時のスコアや大学院の合否はこちらの記事にまとめてあります。
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