旅する情報系大学院生

旅と留学とプログラミング

なぜ男子進学校は女子学生から教育の機会を奪っているのか

まずはデータを見てほしい。

NHK首都圏ナビの記事*1より引用

これは都立高校の男女別の合格基準を模試の結果からまとめたものである。元記事にも書いてある通り、多くの都立高校で女子学生の合格基準が男子学生より高くなっている。

同じ高校の同じ試験を受験して同じ点数を取ったとしても、女子学生が落ちて男子学生が受かるということがあるということだ。実際、2021年の都立入試では男女別定員がなければ合格していた女子学生が訳700人居たそうだ*2

この現状は明らかに女子学生から教育の機会を奪っている。では、これは都立高校だけの問題なのか?都立高校が男女別定員を廃止すれば解決する問題なのだろうか。

そうではない。似たような問題が共学化した私立でも起きているからだ。

京都新聞の記事*3より引用

共学の私立でも男女別定員を設けている学校では都立高校と同じく、女子学生の合格点が男子学生より高い、つまり同じ点数を取っても女子学生だけ落ちるという問題が起きている。

まずはこのような問題が令和の今でも実在し、多くの女子学生が不利益を被っているという事実を共有したい。その上で、どうしたらこの問題を解決出来るかを一緒に考えて欲しい。

溢れた女子学生はどこへ行くのか

共学の都立高校でも私立高校でも女子学生の合格点が男子学生より高いというのは前項で見た通りである。では、溢れた女子学生はどこに行くのか。私立の女子校に進学するしかない。

ダイヤモンドオンライン全国高校「国公立大学合格力」ランキング・ベスト50【2020年入試版】*4より引用

しかし、女子校の進学校は残念ながら多くない。2020年度ダイヤモンドオンライン全国高校「国公立大学合格力」ランキング50の上位10校のうち7校は男子校である。また、驚くべきことに掲載された50位のうち女子校は1校もない。東大だとこの偏りは顕著で、1学年3000人のうち約13.5%の400人が開成・灘・筑駒出身というのが現状である。

この調査は、共学進学校の選考から漏れた女子学生が進学出来る女子進学校が残念ながらとても少ないことを示している。

では、共学の高校から男女別定員のせいで選考に漏れ、自分のレベルに合う女子進学校が周りにない女子学生はどうすれば良いのか。レベルを落とした高校に進学するしかない。他の先進国と比べて日本のトップ大学で女子学生の比率が異常に低いのは、このシステムのせいなのではないかと私は考えている。

男子進学校は批判を受けるべきなのか

この記事の始めで共学の高校で男女の合格基準に差があることをデータから見て、批判した。もちろんこの差別は是正されるべきであると私は思うが、そもそもこのような批判が可能なのは共学の高校では男女どちらの受験生もいて、同じ試験を受験するからである。男子校は言うなれば、女子学生が満点を取ったとしても性別のせいで落ちるシステムであるため*5、共学の高校では可能だった点数を用いた客観的な比較は不可能である。

前項では女子進学校の選択肢が男子進学校に比べて圧倒的に少ないことを見た。優秀な女子学生の行き場がないのである。共学校で男女別定員を無くすことや女子進学校を増やすことは大事だと思うし、そのような努力は継続されるべきだと思う。しかし私は全国高校ランキング10校のうち7校が男子校であること、つまり女子学生は全国高校トップ10校のうち7校には受験をする前から落ちていることが根本的な問題だと考えるし、一番解決しやすいポイントだとも思う。女子進学校を新しく作るよりも、すでに進学校である男子校の門戸を女子学生にも広げる方が実現可能性が高いのは明らかである。

上記の理由から、私は男子進学校は女子学生から教育の機会を奪っていると考えている。共学化が進み、優秀な女子学生の進学の選択肢が増えることを願ってやまない。

*1:https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20210325.html

*2:https://www.asahi.com/articles/ASP9S6SNHP9SUTIL00T.html

*3: https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/591247

*4:https://diamond.jp/articles/-/213522

*5:もちろん逆を言えば、女子校は男子学生が満点を取ったとしても落ちるシステムであるし、私は一般的に性別で差別をする入試は辞めるべきだと思っている。